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軸受の点検軸受の洗浄軸受を取り外して点検する場合には、まず、軸受外観の記録をとり、次に潤滑剤の残存量及び潤滑剤を採取した後、洗浄します。軸受の洗浄は、普通、軽油又は白灯油を使用します。粗洗浄と仕上洗浄とに分け、軸受が容器の底のごみに直接触れないように、金網などで上底にしておきます。粗洗浄の油中で、ブラシなどで軸受の潤滑グリースや異物などの付着物をきれいに除去します。このとき、異物が付いたまま軸受を回転させると、軌道面にきずを付けることがあるので注意が必要です。次に、仕上洗浄は、軸受を洗浄油の中で回転させながらていねいに行います。なお、洗浄油はフィルタなどで清浄に保つことが望ましく、また、軸受洗浄後は直ちに防せい処理が必要です。軸受の点検と判定取り外した軸受の再使用が可能かどうかの判定は、軸受を洗浄した後の点検によります。軌道面、転動体、はめあい面の状態、保持器の摩耗状態、軸受のすきまの増加、寸法、回転精度などについて有害な損傷・異常がないかを注意深く点検します。判定は、軸受の損傷の程度、機械の性能、重要度、運転条件、次回の点検までの期間などを考慮して、経験によって決めることになります。保守・点検保守・点検機械に取り付けられている軸受が、良好な性能を維持するために、保守・点検を行います。軸受の保守は、機械の運転状態の点検、潤滑剤の点検・補給又は取替え、定期分解による検査などについて行います。運転中の機械に取り付けられている軸受の点検事項には、軸受の温度、音響、振動、潤滑剤の状態などがあります。運転中に異常な状態を発見した場合には、62ページの運転検査を参考に原因とその対策をたてます。また必要に応じて、軸受を取り外すときには、63ページの取外しを参照してください。軸受の損傷と原因・対策転がり軸受は正しく選定、取付け、運転、保守を行えば、一般に、転がり疲れ寿命まで使用することができます。しかし、実際には、この寿命より早期に軸受が損傷することがあり、これは故障又は事故と呼ばれています。その原因は、軸受の取付け・取扱い、潤滑の不十分、異物の侵入などの例が見受けられます。損傷した軸受だけを調査しても原因を確定することが難しいことがあり、軸受の使用機械、使用箇所、使用条件及び軸受まわりの構造などを知った上で、損傷発生前後の状況が分かれば、軸受の損傷の状況と幾通りかの原因を結びつけて検討し、同類の損傷再発を防止することが可能になります。一般的な、軸受の損傷の発生原因とその対策については、表41を参照してください。図32図33そのほか、軸の段付肩部が高く、内輪の取外しが困難な場合には、図32、図33のように抜取用ピン穴をあけるか、段付肩部にプーラがかけられる溝を円周に数箇所設けて行います。また、取外し後にその軸受を再利用しない場合には、直接トーチランプで加熱して取り外すことがあります。軸受の取扱い64