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表36グリースのちょう度と使用条件NLGIちょう度番号混和ちょう度使用条件01234385~355340~310295~265250~220205~175集中給油用揺動用一般用一般用・高温用グリースでシールする場合表37軸受の形式と潤滑油の必要粘度軸受の形式ニードルベアリングローラベアリングクロスローラベアリングスラストニードルベアリングスラストローラベアリング運転状態での動粘度13mm2/s以上20mm2/s以上32mm2/s以上❶基油グリースの基油には、普通、石油系潤滑油が用いられます。グリースの潤滑性能は、主として、基油の潤滑性能によって決まるため、潤滑油の基油粘度を重視する必要があります。一般に、軽荷重・高速回転には低粘度、重荷重・低速回転には高粘度が適します。流動点、高温安定性の点では、石油系にかわりジエステル系、シリコン系の合成潤滑油が使用されます。❷増ちょう剤グリースの増ちょう剤として、表35に示すように、一般には金属石けん基が多く用いられます。特にNa石けん基は水溶性で乳化しやすいので、湿気や水のかかる箇所には使えません。また、増ちょう剤の種類とグリースの滴点とは関係が深く、一般に滴点の高いグリースは使用温度の上限が高くなります。しかし、高滴点の増ちょう剤を用いたグリースでも基油の耐熱性が低い場合には、その上限温度は低くなります。❸ちょう度グリースの硬さの度合を表すもので、増ちょう剤が同じ場合は、その量に比例して硬くなります。ちょう度(混和ちょう度)は、通常、グリースを60回かき混ぜた直後、規定の円すいが規定時間にグリースに進入する深さ(mm)の10倍で表します。したがって、使用中の流動性を表す目安となり、軟らかいグリースのちょう度は、大きな数値となります。表36はグリースのちょう度番号、ちょう度と使用条件との一般的な関係を示します。そのため、長期間無給油で運転する場合には酸化防止剤を、また、重荷重が作用する箇所には極圧添加剤を加えたグリースの使用が適しています。❺異種グリースとの混合適性原則として、同一銘柄のグリースを使用することが望まれますが、グリースの混合が避けられない場合には、同種の増ちょう剤及び類似の基油のグリースを使用するようにします。異種のグリースを混ぜると、グリース構造は相互に悪影響を及ぼすことがあり、また、個々のグリースちょう度より軟化しますので、注意が必要です。潤滑油転がり軸受の潤滑油には、精製された鉱油又は合成油が使用されます。また、特性を強化するため、酸化防止剤、極圧添加剤、清浄剤などの添加剤が必要に応じて加えられています。潤滑油の選定に当たっては、運転温度において適正な粘度の油を選ぶことが重要です。粘度が低過ぎると、油膜形成が不十分となり、異常摩耗、焼付きの原因となります。また、粘度が高過ぎると、粘性抵抗により発熱したり、動力損失を大きくします。一般的な基準としては、荷重が大きいほど高粘度、回転数が高いほど低粘度の油を使用します。普通の使用条件では、運転温度において、表37に示す粘度が目安となります。潤滑油の粘度と温度との関係は、図25から求めることができます。また、軸受の使用条件における潤滑油の選定例を表38に示します。❹添加剤添加剤はグリースの性能を向上させるために添加する各種の物質で、添加量は少量です。例えば、軸受を長時間運転すると温度が上昇し、これにつれて潤滑剤も酸化し、酸化生成物を生じて軸受を腐食させます。潤滑57