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接触形式の密封装置材料の弾性によってシール面に圧力をかけ、回転・往復・揺動運動する軸の摺動面を密封する形式で、シール材料は合成ゴム、合成樹脂、フェルトなどが一般的に使用されています。❶オイルシール最も一般的な密封装置として、合成ゴムのオイルシールが多く使われます。リップは弾性に富み、軸と接触して密封効果が得られます。また、適当な緊迫力を保持するため、ばねを組み込んだものもあります。リップと軸との摺動面は、常に境界潤滑と流体潤滑が混同した摩擦挙動を示しています。この接触面に潤滑剤がなくなると発熱、摩耗、焼付きを起こし、逆に、油膜が厚くなると油漏れを生じます。通常のオイルシールは、JISB2402-1~5に規格されています。IKOニードルベアリング用シール(510ページ参照)は、ニードルベアリングの断面高さに合わせた寸法になっています。オイルシールリップの材料は、普通ニトリルゴムが使用されます。材料とその使用温度範囲を表32に示します。シールと接触する軸の仕上げは、表33のように、軸の周速によって適切な表面粗さが必要です。また、真円度をよくし、軸の偏心も0.05mm以下にすることが望まれます。軸の摺動部の硬さは、耐摩耗性を高めるため、硬質クロムメッキ又は熱処理によって、40HRC以上にする必要があります。表32シールの材料と使用温度シールの材料合成ゴムニトリルゴムアクリルゴムシリコンゴムふっ素ゴム四ふっ化エチレン樹脂使用温度範囲℃-25~120-15~130-50~180-10~180-50~220表33軸の周速と表面粗さ周速m/sを超え以下─510510─0.8(3.2)0.4(1.6)0.2(0.8)表面粗さμmRa(μmRy)❷フェルトシール構造が簡単なため、古くからグリース潤滑の防じんに使用されています。フェルトは回転中ある程度含油するので、発熱、焼付きは起きにくくなっています。しかし、軸の周速が大きい(4m/s以上)場合は使用できません。ちりやほこりの多いところでは、フェルトの接触面に吸着して、軸にきずを付けることがあります。これを防ぐためフェルトシールは、ある程度間隔を保って2個組み込むか、合成ゴムシールを併用することがあります。軸及びハウジングの設計52