IKO_CAT-1603_NEEDLE_JP


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すきまの選定ニードルベアリングのラジアルすきまは、軸受のはめあい、軌道輪と転動体との温度差、荷重などによって変化し、これらは軸受の寿命、精度、音響、発熱などに大きな影響を与えます。ラジアルすきまが過大な場合は、振動、音響が増大し、過小の場合は、軌道面と転動体との接触部に異常に大きな力が加わり、異常発熱、寿命低下などをきたします。したがって、軸受が定常運転で温度も一定(飽和温度)になったとき、ゼロ又はわずかに正になるよう組付け前にすきまを与えておくのが理想的です。しかし、すべての軸受をこの理想状態にそろえることは困難です。一般的な使用条件下ではすきまCNが最も多く用いられ、表21、表22のはめあいを使用したときに支障のないように製作されています。すきまCN以外のラジアル内部すきまを用いる場合には、表19を参考にしてください。表19すきまCN以外のラジアル内部すきまの選定例使用条件選定すきま重荷重及び衝撃荷重が負荷し、しめしろが大きいときすきまC3以上すきまC2以下方向不定荷重が負荷し、内外輪ともしめしろが必要なとき外輪より内輪の温度が高いとき軸のたわみ又はハウジングの取付誤差が大きいとき振動、音響を小さくしたいとき内外輪ともすきまばめのとき予圧を与えたいときはめあいによるラジアルすきまの減少しめしろを与えて内輪を軸に、外輪をハウジングにはめると、軌道輪は弾性変形によって膨張、収縮し、その結果ラジアルすきまは減少します。このときのラジアルすきまを残留(内部)すきまと呼びます。ラジアルすきまの減少量は、次の式により求められますが、一般にはしめしろの70~90%です。∆C=∆F+∆E……………………………………(24)すきまここに∆C:ラジアルすきまの減少量mm∆F:内輪外径の膨張量mm∆E:外輪内径の収縮量mm❶内輪外径の膨張量・中実軸の場合∆F=∆dedF…………………………………(25)・中空軸の場合∆F=∆dedF1-(di/d)21-(d/F)2(di/d)2…………(26)ここに∆de:内輪の有効しめしろmmd:内輪内径mmF:内輪外径mmdi:中空軸の内径mm❷外輪内径の収縮量・鋼のハウジングの場合(D0=∞)∆E=∆DeED…………………………………(27)・鋼のハウジングの場合(D0≠∞)∆E=∆DeED1-(D/D0)21-(E/D)2(D/D0)2……(28)ここに∆De:外輪の有効しめしろmmD:外輪外径mmE:外輪内径mmD0:ハウジング外径mm内外輪の温度差によるラジアルすきまの減少回転によって発生した摩擦熱は、軸及びハウジングを通して放熱されたり、油や空気を通して外部に放熱されます。一般の使用状態においては、軸よりも外輪側の放熱のほうがよいので、温度も外輪側の方が低いのが普通です。運転中は転動体の温度が最も高く、内輪、外輪の順に低くなります。そのため熱膨張量が異なり、ラジアルすきまが減少します。このときのラジアルすきまを有効(内部)すきまと呼び、減少量は次の式で求められます。42


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