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Ⅲ8グリースの補給方法グリースニップルなどの給脂機器から、古いグリースが排出されるまで十分に新しいグリースを補給します。補給後慣らし運転をすると、余分なグリースは直動案内機器の外部に排出されますので、排出されたグリースを除去してから運転を開始します。グリースの補給量は、直動案内機器の空間容積に対して1/3~1/2程度の割合を目安に補給しますが、はじめてグリースニップルなどからグリースを供給するときは、補給経路内でのロスが生じますので、このロス分を考慮する必要があります。一般的にグリースを補給した直後は、運動抵抗が増大する傾向があります。余剰グリース排出後、さらに10~20往復の慣らし運転を行うことにより小さく安定した運動抵抗を得られます。なお、運動抵抗の大きさが問題になる用途では、グリースの補給量を少なめにすることもありますが、潤滑性能を損なわない程度に補給量を確保するようにご注意ください。異種グリースの混合異種グリースの混合は、基油、石けん基、添加剤の性状に変化が生じ、潤滑性能を極端に低下させたり、添加剤の化学変化などによる不具合を生じる恐れがあります。古いグリースを完全に除去してから新しいグリースを充てんしてください。油潤滑油により潤滑するときは、荷重が大きいほど高粘度、速度が早いほど低粘度の油を選びます。重荷重が作用することが多い直動案内機器では、一般的に68mm2/s程度のものが使用されますが、軽荷重で高速運動する用途では、13mm2/s程度の潤滑油が使用されることもあります。潤滑部品「Cルーブ」CルーブボールスプラインGは、潤滑部品「Cルーブ」を内蔵しています。Cルーブは、微細な樹脂パウダーを焼結成形して作られた連通多孔焼結樹脂で、内部の空間に発生する毛細管現象を利用して、多量の潤滑油を含浸させた潤滑部品です。潤滑油は、スプライン軸ではなく、直接ボール(鋼球)に供給されます。外筒の循環路内に内蔵されたCルーブにボールが接触したとき、ボールの表面に潤滑油が供給され、循環により負荷域に運ばれます。その結果、負荷域では常に最適な油量が確保され、長期間潤滑性能を維持します。Cルーブの表面は、常に潤滑油で覆われています。Cルーブの表面にボールが接触すると、表面張力により潤滑油が途切れることなくボールの表面に供給されます。表7直動案内機器に使用するグリース銘柄銘柄基油増ちょう剤ちょう度使用温度範囲(2)用途℃アルバニヤEPグリース2[シェルルブリカンツジャパン㈱]鉱油リチウム284-20~110一般用途・極圧添加剤入りアルバニヤグリースS2[シェルルブリカンツジャパン㈱]鉱油リチウム283-25~120一般用途マルテンプPSNo.2[協同油脂㈱]合成油・鉱油リチウム275-50~130一般用途クリーン環境用低発じんグリースCG2[日本トムソン㈱]合成油ウレア280-40~200クリーン環境用長寿命クリーン環境用低発じんグリースCGL[日本トムソン㈱]合成油・鉱油リチウム/カルシウム225-30~120クリーン環境用低摺動クリューバーアルファGRY-VAC3(1)[NOKクリューバー㈱]合成油四フッ化エチレンNo.3-20~250真空用耐フレッチンググリースAF2[日本トムソン㈱]合成油ウレア285-50~170耐フレッチング6459グリースN[シェルルブリカンツジャパン㈱]鉱油ポリウレア305-耐フレッチング注(1)補給間隔を短めに設定してください。(2)使用温度範囲はグリースメーカーのカタログ値を引用していますが、高温環境下での常用を保証するものではありません。備考ご使用のときは選定したグリースメーカーのカタログをご確認ください。記載以外の用途のグリースについては、IKOにお問い合わせください。洗浄・脱脂Cルーブを内蔵した直動案内機器は、脱脂能力を有する有機溶剤、白灯油などでの洗浄等は厳禁です。油成分に関する注意点直動案内機器は、防せい油やグリースなどを使用しております。そのため、使用条件によっては油垂れや飛散の可能性がありますので、必要に応じて遮蔽板などの設置をご検討ください。保管直動案内機器は、弊社の梱包および荷姿で高温、低温、多湿を避け、水平な状態で室内に保管してください。また、あらかじめ潤滑剤が封入されている製品において長期間保管された場合、内部の潤滑剤が経年劣化していることがありますので潤滑剤を再給脂してからご使用ください。使用上の注意


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