IKO_CAT-1605_RED_JP


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荷重係数直動案内機器に作用する荷重は、機械の振動や衝撃などによって、理論荷重よりも大きくなります。一般的に表3の荷重係数を乗じて負荷荷重を求めます。表3荷重係数運転の条件衝撃のない円滑な運転のとき普通の運転のとき衝撃荷重を伴う運転のときfw~1.211.2~1.51.5~3静的安全係数一般には基本静定格荷重及び静定格モーメント(又は静定格トルク)を正常な転がり運動をする許容限界の荷重と考えていますが、直動案内機器の使用条件や直動案内機器に要求される性能に応じて、静的安全係数を検討する必要があります。静的安全係数は次の式から求められ、一般的な値を表4に示します。なお、式(4)はモーメント又はトルクに対する代表式です。それぞれの方向の静定格モーメントと最大モーメントを対応させて算出します。fS=C0―P0fS=T0―M0(3)(4)fS:静的安全係数C0:基本静定格荷重NP0:静等価荷重Nここに(又は負荷荷重(最大荷重))(又は静定格トルク)(最大モーメント又は最大トルク)T0:静定格モーメントN・mM0:それぞれの方向のモーメントまたはトルクN・m振動、衝撃があるとき使用条件と静的安全係数高い走行性能を要求するとき普通の運転条件のとき4352.52.54~6~5~7~63~52~44~6223~52.5~3~31~531.51.52.5~3表4静的安全係数シリーズクロスローラウェイボールスライドボールスプラインリニアブッシングストロークロータリブッシングローラウェイ・フラットケージ予圧予圧の目的ボールの直径10mmローラの直径と長さ10mm×10mm予圧荷重:0.05×C0相当ボール(予圧なし)ボール(予圧あり)ローラ(予圧なし)ローラ(予圧あり)100020003000荷重N図4予圧と弾性変位特性Ⅲ6201510500弾性変位量μm直動案内機構では、負荷が小さく軽い動きを必要とするときに直動案内機器にすきまを与えて使用することもありますが、用途により案内機構部のあそびを除去したり、剛性を高めるために予圧を与えて使用するときもあります。予圧は軌道面と転動体との接触部に、あらかじめ内部応力を発生させて与えます。直動案内機器への外部からの負荷を、この内部応力が緩衝吸収して弾性変位量をおさえ剛性を高めます。(図4参照)予圧の設定予圧量の大きさは、直動案内機器を取り付ける機械・装置などの特性や、直動案内機器への荷重の作用のしかたなどを考慮して決定します。一般的に直動案内機器の予圧は、転動体がボール(鋼球)のときは負荷の1/3程度、ローラ(円筒ころ)のときは1/2程度を目安に使用しますが、振動荷重や変動荷重が負荷され、特に高い剛性を必要とするときはさらに大きな予圧を与えるときもあります。予圧選定の注意高い剛性を求めるときでも、過大な予圧は転動体と軌道の間に過大な応力が生じ、直動案内機器の寿命を低下させる原因となります。予圧は、使用条件に合った適正な量にて運転することが重要です。大きな予圧を与えて使用するときは、IKOにお問い合わせください。なお、リニアブッシングやストロークロータリブッシングは、大きな予圧をかけられませんので注意が必要です。


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