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Ⅲ5定格荷重と寿命直動案内機器の寿命直動案内機器は正常な運転状態でも、ある期間を超えて運転するとやがて寿命にいたります。直動案内機器の軌道面や転動体には、常に繰返し荷重がかかり、材料の転がり疲れによるフレーキングと呼ばれるうろこ状の損傷(疲労はく離)を生じ、使用に耐えなくなります。このフレーキングが軌道面か転動体のいずれかに現れるまでの総走行距離を、直動案内機器の寿命といいます。直動案内機器の寿命は、材料の疲労現象によるばらつきがあるため、統計的処理をした定格寿命を使用します。定格寿命直動案内機器の定格寿命とは、一群の同じ直動案内機器を同じ条件で個々に走行させたとき、そのうちの90%の直動案内機器が転がり疲れによる材料の損傷を起こさずに走行できる総走行距離をいいます。図1定格荷重の方向C、C0基本動定格荷重CISO14728-1準拠基本動定格荷重とは、一群の同じ直動案内機器を個々に走行させたとき、50×103mの定格寿命を理論上満足するような方向と大きさが一定の荷重をいいます。基本静定格荷重C0ISO14728-2準拠基本静定格荷重とは、最大荷重を受けている転動体と軌道の接触部中央において、一定水準の接触応力を生じさせる静荷重であり、正常な転がり運動をする許容限界の荷重をいいます。一般的には静的安全係数を検討して使用します。静定格モーメントT0、TX、TY静定格モーメントとは、図2に示すようなモーメントを負荷したとき、最大荷重を受けている転動体と軌道の接触部中央において、一定水準の接触応力を生じさせる静的なモーメントをいい、正常な転がり運動をする許容限界のモーメントをいいます。一般的には静的安全係数を検討して使用します。図2静定格モーメントの方向T0TXTY