IKO_CAT-1603_NEEDLE_JP


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20基本定格寿命基本定格寿命とは、一群の同じ軸受を同じ条件で個々に運転したとき、そのうちの90%の軸受が転がり疲れによる材料の損傷を起こさずに回転できる総回転数と定義されています。一定回転速度で回転する場合には、基本定格寿命を総回転時間で表すこともできます。基本動定格荷重基本動定格荷重とは、軸受の基本定格寿命が100万回転になるような、一定の静ラジアル荷重(ラジアル軸受)又は静中心アキシアル荷重(スラスト軸受)をいいます。寿命計算式転がり軸受の基本定格寿命、基本動定格荷重、動等価荷重(軸受荷重)との間には、次の関係があります。L10=()pP……………………………………(1)ここにL10:基本定格寿命106rev.C:基本動定格荷重NP:動等価荷重Np:指数ころ軸受10/3玉軸受3したがって、毎分回転数が与えられれば、基本定格寿命は次の式で総回転時間として表すことができます。Lh=106L1060n=p500fh………………………(2)fh=fnCP……………………………………(3)fn=()1/p33.3n…………………………………(4)ここにLh:時間で表した基本定格寿命hn:毎分回転数min-1fh:寿命係数fn:速度係数なお、fh及びfnは図2の寿命算出用スケールより求め、寿命を算出することもできます。基本動定格荷重と寿命寿命転がり軸受は、使用中にいろいろな原因によって、いつかは破損します。取付けの不具合、潤滑油の不足、ちりやほこりの侵入など使用上の不備に起因する摩耗、焼付き、割れなどの損傷は、原因を除けば避けられます。しかし、正常な使用状態でも疲労はくりによって、いずれは破損します。つまり軸受が負荷を受けて回転すると、軌道輪や転動体には常に一定の応力が繰返し加わります。その応力が表面の浅い部分に集中されるため、疲れ現象は表層部に限定されて表面の一部にうろこ状の破損形態を生じます。これをフレーキング(はくり)と呼び、使用に耐えなくなります。軸受の寿命転がり軸受の寿命は、軌道輪か転動体のいずれかの表面に、疲労による最初のフレーキング形跡が現れるまでの総回転数(又は一定回転速度での総回転時間)と定義されています。しかし、寸法、構造、材料、熱処理がまったく同一条件下にある軸受を運転しても、寿命は一定せずばらつきを生じます(図1参照)。これは材料の疲労限度そのものにばらつきがあるためです。したがって、軸受寿命の基準としてすべての軸受の平均寿命をとることは、実際の軸受の選定上適切とはいえず、使用軸受の大部分が保証される寿命を考える方が実用的です。このため、次のように定義された基本定格寿命を使用します。図1転がり疲れ寿命のばらつき破損確率密度(破損度数)基本定格寿命平均寿命転がり疲れ寿命基本動定格荷重と寿命


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