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Ⅲ20予圧予圧の目的直動案内機構では、負荷が小さく軽い動きを必要とするときに直動案内機器にすきまを与えて使用することもありますが、用途により案内機構部のあそびを除去したり、剛性を高めるために予圧を与えて使用するときもあります。予圧は軌道面と転動体との接触部に、あらかじめ内部応力を発生させて与えます。直動案内機器への外部からの負荷を、この内部応力が緩衝吸収して弾性変位量をおさえ剛性を高めます。(図3参照)予圧の設定予圧量の大きさは、直動案内機器を取り付ける機械・装置などの特性や、直動案内機器への荷重の作用のしかたなどを考慮して決定します。一般的に直動案内機器の予圧は、転動体がボール(鋼球)のときは負荷の1/3程度、ローラ(円筒ころ)のときは1/2程度を目安に使用しますが、振動荷重や変動荷重が負荷され、特に高い剛性を必要とするときはさらに大きな予圧を与えるときもあります。適用する予圧区分の概要を表9に示します。詳細は、各シリーズの解説をご参照ください。予圧選定の注意高い剛性を求めるときでも、過大な予圧は転動体と軌道の間に過大な応力が生じ、直動案内機器の寿命を低下させる原因となります。予圧は、使用条件に合った適正な量にて運転することが重要です。大きな予圧を与えて使用するときは、IKOにお問い合わせください。ボール(予圧なし)ローラ(予圧なし)ローラ(予圧あり)ボール(予圧あり)201510500100020003000荷重N弾性変位量μmボールの直径10mm予圧荷重:0.05×C0相当ローラの直径と長さ10mm×10mm図3予圧と弾性変位特性表9シリーズと予圧区分予圧(予圧記号)シリーズ名すきますきま標準軽予圧中予圧重予圧(TC)(T0)(無記号)(T1)(T2)(T3)CルーブリニアウェイLリニアウェイL-○○○--CルーブリニアウェイLV(1)------CルーブリニアウェイV○-○○--CルーブリニアウェイEリニアウェイE○-○○○-CルーブリニアウェイHリニアウェイH-○○○○○リニアウェイF--○○○-CルーブリニアウェイULリニアウェイU--○○--CルーブリニアローラウェイスーパーXリニアローラウェイスーパーX--○○○○リニアローラウェイX--○○○○注(1)わずかなすきま又はわずかな予圧状態に調整しています。